2月12日はりまや橋夜学会「記者クラブ制度」

12日は「めろでぃー」での開催。10人が集まった。テーマは「記者クラブ制度」。普通も人もこの名前だけは聞いたことがあると思うが、実体はほとんど知られていない。新聞やテレビのニュースのほとんどはこの記者クラブから発信される。もちろん、事件や事故は現場からの中継もあるが、そのコンテンツは警察の記者クラブを通じて広報された内容をもとに記者自身が見聞きした部分を加味して報道される。記者クラブがなければ、ほとんんどの記者は現場に行っても何が何だか分からすに右往左往するはずなのだ。

記者クラブは首相官邸から各省庁、自治体、警察、企業団体に存在する。構成される任意団体だが、官庁や企業団体の一室を“占拠”している。運営は2カ月交代の幹事社が行う。突発なニュースは別として、日頃は48時間前に記者発表を希望する官庁や企業、個人が幹事社を通じて申し込み、発表予定は掲示板に掲載される。いったん掲示板に掲載されると、そのニュースは例え事前に知っていても書いてはならないというルールがある。これを48時間ルールと呼んでいる。

みなさんがテレビで見ている官房長官会見がある。これは首相官邸のブリーフィング・ルームで午前と午後と日に2回行われるが、建前はあくまで官邸記者クラブが官房長官に要請して行われることになっている。官邸詰めの事務官が司会しているが、政府が勝手に会見しているのではない。

僕の場合、経済記者として霞ヶ関や民間企業の記者クラブに多く所属したことがあるが、一番長かったのは経団連会館3Fにあった鉄鋼記者会だった。当時の経団連会館は昭和30年代に建てられたもので、電気事業連合会、石油連盟、鉄鋼連盟の企業団体が入っていて、鉄鋼記者会のほかに、エネルギー記者会、機械記者クラブ、財界記者会があった。いわば記者クラブのデパートのようなところだった。

鉄鋼記者会は鉄鋼連盟が借りている一室を間借りしたもので、基本的に新日鉄や住友金属など鉄鋼大手企業の広報のために出来たものだったが、後に非鉄金属や化学業界(ガラス、ゴム、紙パルプ、繊維、医薬品、化粧品など)の広報も行う場所となった。各社、鉄鋼担当と化学担当のそれぞれが詰めていて、毎日、そこに出勤する。出会うのは他社の記者ばかり。デスクとの対応はほとんどが電話。小さな部屋だから電話の内容は他社に筒抜けである。他社の記者がいないと、「あいつ何か違うことを取材しているのではないか」と不安にもなるが、そんなことは日常ではない。普段は和気藹々と企業の発表する資料をもとに取材し、記事を書く。先輩の他者の記者から「伴君、あの記事できた?」などと代筆を要請されることもないわけではない。昼飯も飲みに行くのも他社の記者である場合が多い。呉越同舟なのが記者クラブの一つの特徴である。

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