記者クラブ制度2

滋賀県警の記者クラブには2年間所属した。10社以上の新聞、テレビの記者が詰めている。入り口に泉谷さんという中年の女性が座っていて、至れり尽くせりのお世話をしてくれる。出前の注文はもちろん、ボタンの付け替えまでしてくれて、独身者にはまるでお母さん役だ。記者クラブには新聞と雑誌が完備されているので、事件事故がなければ、県警本部の暇な幹部は日に何度も顔を出して、将棋や碁の相手もしてくれた。

考えてみれば、なぜ記者クラブは役所の中を無料で占拠しているのか分からないが、広報官ともなれば、どちらかといえば記者よりの立場に立ってくれて、取材の便宜を図ってくれる。そして、記者を管理するというより、どちらかといえば無意識に「報道は公器だ」というような気分になっていたようだった。新聞記者は抜いた抜かれたの世界で、普段は仲良く振る舞っている仲間でも、突然、朝刊に知らない記事が載っていて、デスクに怒られることもある。そうなれば「あいつは誰から情報をもらったのだろうか」と疑心暗鬼になる。だから記者の仕事といえば、何かあった時に本当のことを教えてくれる「サツ官」を1人でも多く確保することなのだ。

新聞記者は因果な商売で、ニュースといえば事件や事故。世の中にとって悪いことばかり。事件や事故に恵まれないと新聞記者の感性は磨かれない。警察や消防も同じで、人様の不幸で飯を食っている。だからある意味同じ 穴のムジナということで似たような人格が形成されてしまう。というより悲しいことに同じ様な発想・思考をするようになってしまうのだ。記者クラブとはそんな人格を形成する場ともなっている。

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